とうとうこの日が来てしまったんだ。
1ヶ月か、いや2ヶ月前か?
シノブさんから電話があった。
「近々、必ず会いに行くよ。」
とワタシは言った。
どーしても行けなかった。
物理的な問題ではなく、ワタシ自身の問題。
ワタシは嘘つきだ。
電話があるたび、いつもドキドキし、いつもビクビクしていた2年間だった。
明日のお通やにワタシは行けるのだろうか?
頭の中をいろんな思いがぐるぐるまわる。
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる。
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、マスターが逝った。
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、関さんは逝ったのか?
いつでも覚悟はしていたはずなのに・・・。
予定と違う。
きつい酒でも呑んで、とにかく眠ろう。
聞かなかったことにして、ひとまず朝を迎えよう。
思考回路を一時停止して、今日のところは逃げよう。
シノブさんには悪いが、病院に行かなくてよかった。
シノブさんのウェディングドレスと関さんのタキシード姿が最後から2番目でよかった。
意気地なしでよかった。
嘘をついてよかった。
きっと朝起きたら、しゃんっとしている。
現実がちゃんと理解できるはず。
きちんと見送れるはず。
とにかく、眠ろう。
できるだけ早く。
とにかく、眠ろう。
頭をからっぽにして。
とにかく眠ろう。
今日のところは。