愛さんの生まれた日。

そう、こんな寒い日だった。
一週間ほど前から、微弱陣痛が続き、「このまま進めば、出産かなぁー。」
などと、毎晩考えていた。
二回ほど、病院に聞き合わせ、一度は病院に足を運んだ。
出産した友人には聞いていたが、なんせ初めてのこと。
何事も体験せずして、感じることはできない。

人間が生まれてくる時、死んでいく時ともに、どうも海の潮の満ち引きや、月の満ち欠けと
関係しているようである。
もちろん、女性の月経の周期と地球のリズムも合致していると聞く。
不思議なものである。
そして、人間自身がひとつの小宇宙であり、広大な宇宙が生命そのものである。
と言うことは、ワタシ達ひとりひとりの胸中にある意味、宇宙が存在していると言うことなのだ。

以前、書いたが当時、ワタシは体調を崩し、出産はあまり考えていなかった。
とりたてて、子供が好きと言う訳でもなかったし、結婚当初は彼もワタシも好きなネコでも飼いながら
のんびりふたりで暮らせばいいと思っていたし、なによりサチコさんのお世話で忙しかった。
体調を整えながら、サロンのスタッフとして、美容師の勉強も続けていた。
幼い頃から、なぜか「男だったらよかったのに・・・」ってずぅーっと思って来たワタシ。
社会に出てからは特にそうだった。
でも、出産を経験したとき、はじめてオンナでよかったと心からそう思った。
愛さんのおかげである。

病院では、リラックスするために、好きなCDをかけてくれた。
ワタシが選んだのは、スライ&ザ・ファミリー・ストーン。
なんとも、ロックな出産である(笑)
せっかくだからとワタシが薦め、彼も立ち会ったが(彼には申し訳ないが)正直、いてもいなくても
おんなじが本音であった。(笑)

ドラマのように、彼と生まれてくる子供とみんなで心を通い合わせて、キレイに出産とは行かない。
なんせ生きるか死ぬかぐらい、痛いのである。
酸素マスクまで登場し、今日産まなければ、死ぬっと思った。
ゆとりもなにも、あったもんじゃない。
腹を決めるとはこのことと痛感した。
あれがガマンできれば、もう大抵のことは怖くないっ!

                 

                  オンナのひとはスゴイ。


出産するまでは、「なんやかんや言ってもみーんな産んでるんだし。」と軽く見ていた。
なんにせよ、結構ガマン強い方だと思っていたし・・・。
その経験を体験してからは、子連れのお母さんを見るたび、この人もかっ!とかっこよく見えた。
そして、一番感じたことは、ワタシもこうして産んでもらったんだと言うこと。
サチコさんもこうやって、彼を産んでくれた。
だから、愛さんが産まれて来られた。
そう思うと胸の奥に自然と感謝のきもちと優しくあたたかく穏やかな気持ちが広がっていった。

町を歩いていても、あのおじいちゃんにもお母さんがいて、赤ちゃんの時があったんだ。
この、おばちゃんもそう。その怖そうなおにいちゃんも、あの気取ったお姉ちゃんも、
このおっちゃんも(笑)
自分も含め、みーんな、元赤ちゃんなのだ。
そう思うとすべての人がいとおしく思えた。
みんなくしゃくしゃの顔をして、おっぱいを飲んでいたのだ。     
                                 いつものケーキ屋さんがお休みのため
                                 買いに行くのが遅くなっちゃった。
                                 単品ケーキにローソクの図。

今日、愛さんは6歳を迎えた。
家族でささやかにお祝いをした。
同時にワタシが貴重なスバラシイ体験をした6年目の記念日でもあったのだった。
愛さん、我が家に生まれて来てくれて、アリガトウ。